白駒の池


      白駒の池13


「その後も、何度か白駒が馬小屋にいない時があ
った。朝にはちゃんともどってきていたので、今
まで誰にも話したことはないのだが」
「そんなことがあったのね。私、何も知らなかっ
たわ」
「長者の家にきた時から、白駒ってふしぎな馬だ
なと思っていたんだ」
清太はいいました。



「白駒。あなたは、夜中にどこへ行っているの?」
きよは、白駒に聞きました。
しかし、白駒は、遠くの山をじっとみているだけ
でした。



「清太さん。ぼつぼつ、ゆうすげの花の咲く場所
へ移動しない?」
「そうだね。じゃあ、ぼつぼつ出発しようか」
「ゆうすげの花が咲いていた場所を、清太さんちゃ
んとおぼえている?」
「おぼえているよ。美しい花だったから、よくおぼ
えている」
二人は白駒の背にのり、ゆうすげの花が咲いていた
場所へ走っていきました。



「きよちゃん、ここだよ」
「あら、まだつぼみがかたいのね。今夜、花が咲く
かしら?」
きよが心配そうにいいました。


    つづく