竜の姿をみた少女


    竜の姿をみた少女7  
 

「少女よ。おまえは、ほんとうにしらかば湖が好き
なんだね」
ふりむくと、白いひげのおじいさんが立っていまし
た。みたことのないおじいさんです。
おじいさんは、白い着物をきて、長い杖をついてい
ました。よくみると、杖の頭部には、竜の頭らしき
ものがついていました。



「わしはのぅ、昔この村に住んでいたものじゃ。こ
こは、のどかでいい所じゃのぅ。わしは兄たちとい
っしょに、春はわらび、秋は栗やきのこをとったも
のじゃ。あの頃は、ほんとうに楽しかったのぅ」
おじいさんは、昔をなつかしむように、こどものこ
ろの話をいろいろしてくれました。



「おじいさん。この村に、竜が住んでいるというい
いつたえを知っている?」
「ああ、知っているとも」
おじいさんは、大きくうなずきました。
「じゃあ、おじいさんは、この湖に竜が住んでいる
と思う?」
「さあ・・・どう・・・じゃろな」
おじいさんは、なぜかこまったような顔をし、口ご
もりました。
 

   つづく


「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)



湖につき落とされた三郎が、地の神に
助けられ、心のやさしさゆえに、竜神
となる表題作ほか、守屋山の明神様に
まつわる、福寿草と少女の話を収録。
信州諏訪の風の神様から聞いた話をま
とめた第2弾。



 収録されている童話

  
  ・  竜神になった三郎 

  ・  福寿草になった少女
 


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu2.html