竜の姿をみた少女7
「少女よ。おまえは、ほんとうにしらかば湖が好き
なんだね」
ふりむくと、白いひげのおじいさんが立っていまし
た。みたことのないおじいさんです。
おじいさんは、白い着物をきて、長い杖をついてい
ました。よくみると、杖の頭部には、竜の頭らしき
ものがついていました。
「わしはのぅ、昔この村に住んでいたものじゃ。こ
こは、のどかでいい所じゃのぅ。わしは兄たちとい
っしょに、春はわらび、秋は栗やきのこをとったも
のじゃ。あの頃は、ほんとうに楽しかったのぅ」
おじいさんは、昔をなつかしむように、こどものこ
ろの話をいろいろしてくれました。
「おじいさん。この村に、竜が住んでいるというい
いつたえを知っている?」
「ああ、知っているとも」
おじいさんは、大きくうなずきました。
「じゃあ、おじいさんは、この湖に竜が住んでいる
と思う?」
「さあ・・・どう・・・じゃろな」
おじいさんは、なぜかこまったような顔をし、口ご
もりました。
つづく
「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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湖につき落とされた三郎が、地の神に
助けられ、心のやさしさゆえに、竜神
となる表題作ほか、守屋山の明神様に
まつわる、福寿草と少女の話を収録。
信州諏訪の風の神様から聞いた話をま
とめた第2弾。
収録されている童話
・ 竜神になった三郎
・ 福寿草になった少女