ふしぎな鈴「朝顔のエスカレーター」


ふしぎな鈴「朝顔エスカレーター」2


「かな、この鈴をいつまでも大切にす
るのだよ」
こういうと、おとうさんは靜かに息を
ひきとりました。
時間がたつにつれ、おとうさんの体が、
だんだんに冷たくなっていきました。



「とうちゃん、とうちゃん。目をあけ
て。ねえ、とうちゃん、おきて・・・」
かなはおとうさんの体にしがみつき、
体をゆすりました。
さっきまで元気でいたおとうさんが、
急になくなってしまうなんて、かなに
は信じられませんでした。




「かな、おとうさんのそばで、少しお
休み」
おかあさんにいわれ、かなはおとうさ
んのそばで休みました。
かなはおとうさんの大きな手に、自分
の手をそっと重ねました。



すると、おとうさんと過ごした六年間
が、なつかく思い出されました。
おとうさんと沼へおにやんまや銀やん
まをとりにいったこと、庭できあげは
や黒あげはをとったことが、まるで昨
日のことのように、なつかしく思い出
されました。


つづく



「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊
目の童話。
一昨年九月、「鳥影社」から発行され
ました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
すてきな挿絵です。



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)