ふしぎな鈴「朝顔のエスカレーター」


ふしぎな鈴「朝顔エスカレーター」9


ついた所は、広い野原の真ん中でした。
たんぽぽやすみれやれんげの花が、野
原一面に咲いています。
空は真っ青で、黄金色の太陽が、目の
前にきらきらとかがやいていました。
花のまわりを、白や黄や紫のちょうが、
ひらひらまっています。



はるかむこうに、小高い丘がみえました。
丘の上で、誰かが手をふっています。
かなは丘にむかって、広い野原をどん
どん走りました。



「おとうさんではないかしら」
丘の上で手をふっていた人も、かけお
りてきました。
やはりなくなったかなのおとうさんで
した。



「とうちゃーん」
かなは、おとうさんの大きな胸の中に、
とびこみました。
大好きなおとうさんのにおいが、ぷーん
としました。



「かなー」
おとうさんも、かなをしっかりだきしめ
ました。
雪をみているうちに、かなはこたつの中
でうとうととねむってしまったのでしょ
うか。


朝顔エスカレーターの章おわり)



「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊
目の童話。
一昨年九月、「鳥影社」から発行され
ました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
すてきな挿絵です。



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)