朝顔のエスカレーター

[童話]朝顔エスカレーター


朝顔エスカレーター 2


「この鈴はね、鎌倉の和尚さんからいただいた鈴だ
よ。この春、丘の上の桜を見に行った時、小桜姫の
話をしてあげたね。おぼえているかな? この鈴は、
小桜姫が大切にしていた鈴の一つだよ。小桜姫は
ね、二つの鈴を大切にしていたのだよ。もう一つの
鈴はね・・・」


ここまで話すと、おとうさんは安心したのか、かなの
手をしっかりにぎりました。
「かな、この鈴をいつまでも大切にするのだよ」
そういうと、おとうさんは靜かに息をひきとりました。
時間がたつにつれ、おとうさんの体が、だんだんに
冷たくなっていきました。


             つづく