ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」1
それから何ヶ月か過ぎました。
かなは一年生になりました。
かなの小学校へ、長いひげの校長先生がふにんして
きました。小柄な色黒の先生でした。先生のひとみ
は温かく、いつもきらきらと輝いていました。
かなは校長先生が大好きでした。かなだけでなく、
こどもたちはみんな校長先生が好きだったのです。
校長先生は、毎朝校門の前にたって、こどもたちを
迎えます。
「かな、おはよう。元気かな」
「まさし、おはよう。かぜはもうよくなったかな」
校長先生はこどもたち一人一人に、やさしく声をか
けます。
かなは校長先生の「おはよう」という声を聞くと、
心の中がぱっと明るくなるような気がしました。
つづく
「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の童話。
一昨年九月、「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
すてきな挿絵です。