ふしぎな鈴


   ふしぎな鈴40


かなは校長先生が大好きでした。
かなだけでなく、こどもたちは
みんな校長先生が好きだったの
です。


          
校長先生は、毎朝校門の前にたっ
て、こどもたちを迎えます。
「かな、おはよう。元気かな」
「まさし、おはよう。かぜはもう
よくなったかな」
校長先生は、こどもたち一人ひと
りに、やさしく声をかけます。



かなは校長先生の「おはよう」と
いう声を聞くと、心の中がぱっと
明るくなるような気がしました。
校長先生は、まわりにいる人々を、
元気にしてしまうふしぎな人でした。


 
五月初めの日曜日。
かなは愛犬の“りゅう”と、丘の
上の山桜をみに行きました。
「ホーホケキョ、ホーホケキョ」
どこからかうぐいすの声が聞こえ
てきました。


           つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100722#p2



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。