ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」


   ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」6


「どうして、かなは桜の鈴のことを知っているの?」
「とうちゃんがなくなった時、小桜姫さまは二つの
鈴を大切にしていたのだよって、話してくれたから
・・・」



「そうだったのか・・・。かな、おとうさんがそう
いったのか。この鈴はね、小桜姫が大切にしていた
桜の鈴だよ。でも・・・この鈴のことは、誰にも話
してはいけないよ。かな、この鈴をいつまでも大切
にするのだよ」
そういうと、校長先生はゆっくり丘をくだって行き
ました。



校長先生から桜の鈴をもらったかなは、毎日りゅう
と散歩しました。
「りゅう、りゅうはどこからきたの?」
「ぼくはね、遠い国からきたんだ。かなさんのおと
うさんにたのまれて、この国へきたんだよ。おとう
さんはね、あちらの国で元気で暮らしているから、
心配しないでね」
りゅうはかなにいいました。



りゅうは気の強い犬でしたが、人の気持がわかる利
口な犬でした。かなはりゅうの顔を初めてみた時「と
うちゃんの顔にそっくりだ」と思いました。


( 校長先生と桜の鈴の章おわり)



「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の童話。
一昨年九月、「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)