きよと清太と、そして白駒


    きよと清太と、そして白駒17


七月のある日。
「清太さん。ゆうすげの花って、みたことある?」 
「あるよ。一度だけ。何年か前、長者のおともで、
夕暮れに霧ケ峰高原を通ったことがある。その時、
どこからかいい香りがしてきた。何の香りだろうと
近づいてみたら、レモン色の美しい花が咲いていた。



それが、ゆうすげの花だった。きよちゃん。ゆうす
げの花は、とても美しい花だよ。おら、もう一度、
ゆうすげの花がみたいな」
清太は、夕暮れにみたゆうすげの花を思い出しなが
らいいました。



「清太さん。私もみたいわ」
「きよちゃん。ゆうすげの花は、夕暮れでないと咲
かないのだよ」
「えっ、ゆうすげの花って、暗くならないと咲かな
いの?」


   つづく