きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒48


その日の夕方。
「とうちゃん。清太さんがまだ帰ってこな
いの。清太さんは、今日どこへ行ったの?」
「清太は、用事があり、遠くの村へ行った。
用事がすめば帰ってくる。きよ。心配しな
くてもだいじょうぶだよ」
長者は、苦しまぎれにそういいました。



しかし、一週間たっても、清太は帰ってき
ませんでした。
「とうちゃん。清太さんは、もうこの家に
はもどってこないのではないの。ほんとう
のことをいって」
「きよ。ごめん・・・。とうちゃんを許し
てほしい。清太は、もうこの家にはもどっ
てこない。清太には、でていってもらった
のだ」



「とうちゃん。清太さんが、何かしたの?」
「いや・・・清太は、何もしない。ただ・・・
清太が・・・きよを大好きだといったから
だ。結婚できない二人が、これ以上同じ屋
根の下で暮らすわけにはいかないからね」
きよは、そんなことではないだろうかと、
心配していたのです。


               つづく