きよと清太と、そして白駒50
娘のきよは、部屋にとじこもったままでて
こないし、清太はいなくなってしまったし。
その上、大切にしている白駒までいなくな
ってしまうなんて・・・。
「どうしてこんなことになってしまったの
だろう。清太をおいだしたから、ばちがあ
たったのだろうか」
長者は、そう思いました。
自分が大切にしていたものを、すべてなく
してしまったような気がし、長者はがっか
くりしました。
「白駒よ。せめておまえだけでも、早くも
どってきておくれ」
長者は、心の中で祈りました。
白駒がいなくなって、十日後。
「とんとん、とんとん」
窓をたたく音がしました。
「きよさん、きよさん」
だれか、きよをよんでいます。
「こんなに朝早く、だれかしら?」
急いで窓をあけると、白駒がたっていま
した。
「白駒。どこへ行っていたの?心配して
いたのよ」
きよは、白駒にかけよりました。
つづく