白駒の池物語


 白駒の池物語19


清太は、長者のお使いもします。
長者のおともで馬を走らせ、遠く
の村へ出かけることもありました。



「長者さまは、いい息子がいて、
幸せじゃのぅ」
「いや、清太は、わしの息子では
ないのじゃ。わが家で働いている
少年じゃ。



こんなすてきな息子がいたら、う
れしいのだが」
二人は、なぜか親子にまちがわれ
ました。



忙しい生活を送っている清太にも、
たった一つ、楽しみがありました。
白駒の背にきよをのせて、八ヶ岳
のふもとの高原を、二人で走りま
わることでした。
きよと高原を走っている時、清太
は幸せでした。


             つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。