かきつばたになった少女


  かきつばたになった少女3


しかし、その少女が、どこに住んでいるのか、
誰も知りませんでした。
「一度で良いから、その美しい少女に会って
みたい」
「かきつばたと友達になりたい」
村の少年たちは、みんなかきつばたにあこが
れていました。



その中に、狩の上手な足の早い少年がいまし
た。少年の名前は、山彦。
「おらもかきつばたに会いたいな。いつかき
つばたに会えるだろうか」
山彦も、かきつばたに会える日を、楽しみに
しています。



梅雨があけた七月のある日。
その日は、からりと晴れた良い天気でした。
かきつばたは、一人で霧が峰へ行こうと思い
ました。
大好きなおばさまに、きすげの花をプレゼン
トしようと思ったのです。
おばさまは、おとうさんの妹。
心のやさしい美しい人でした。
でも、おばさまは独身でした。


         つづく



「かきつばたになった少女」は、信州の霧ケ
峰高原に伝わっている「かきつばた」という
伝説をヒントにして、みほようこが書いた物
語。



「かきつばたになった少女」は、みほようこ
の四冊目の童話集・「ライオンめざめる」に
収録されています。


 
童話集「ライオンめざめる」は、昨年十月、
「鳥影社」から発行されました。




       童話集「ライオンめざめる」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu4.html