女神さまとの約束32
おじいさんは、何もおぼえていないよ
うでした。
ふくは、おじいさんの体を、黄金色の
花びらで、何度もさすってあげました。
「一日も早く、おじいさんが元気にな
れますように」と、心の中で祈りながら。
おじいさんは、たてしな山のふもとに
住んでいるとか。七十才くらいの人の
よさそうなおじいさんでした。
畑仕事をしていて、急にたおれてしま
ったと話してくれました。
少し元気になったおじいさんは、こど
ものころの話をしてくれました。
おじいさんが歩けるようになると、岩
場のまわりを、二人で散歩しました。
「ふくちゃん。太陽がのぼってきたよ。
朝日をみると、元気がでるね」
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。