火とぼし山


    火とぼし山22


「きよちゃんと会っていることが、主
人にばれてしまったんだ。
だから、しばらくきよちゃんとは会え
ない」
「どうして、私たちが会っていること
が、わかったの」



「おれ、きよちゃんと会う日には、家
に用事があるといって、ここへきてい
たんだ」
「次郎さん。なぜ、ほんとのことを、主
人にいわなかったの。



最初にきちんと話しておけば、なんで
もないことなのに。
次郎さんは、私と会うことが迷惑だっ
たの」
きよが、強い口調でいいました。
次郎は、こんなきよをみたことがなか
ったので、びっくりしました。


            つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪湖
には、「火とぼし山」という悲しい伝
説があります。


「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。