守屋山に黄金色の花が咲いた4
「私は兄ちゃんのことをこんなに思っ
ているのに…。なぜ兄ちゃんは…」
少女は心をとざしている兄をみること
が苦痛でした。
そんな少女の様子を、明神さまははら
はらしながら、見守っていました。
「少女よ、これくらいの苦しみや悲し
みに負けるなよ。
おまえのことはこのわしがしっかり守
ってやるぞ」
明神さまは少女の顔をみるたびに、心
の中でそうつぶやくのでした。
それから三年三カ月がすぎました。
山深い村にも、ようやく温かな春がや
ってきました。
少女は兄を喜ばそうと、守屋山へ黄金
色の花を探しに行こうと思いました。
幻の花といわれている黄金色の花さえ
見つかれば、兄がやさしい人になれる
ような気がしたのです。
つづく
童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」
は、みほようこの初めての童話集「風
の神様からのおくりもの」に収録され
ています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
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