守屋山に黄金色の花が咲いた


  守屋山に黄金色の花が咲いた4


「私は兄ちゃんのことをこんなに思っ
ているのに…。なぜ兄ちゃんは…」
少女は心をとざしている兄をみること
が苦痛でした。
そんな少女の様子を、明神さまははら
はらしながら、見守っていました。



「少女よ、これくらいの苦しみや悲し
みに負けるなよ。
おまえのことはこのわしがしっかり守
ってやるぞ」
明神さまは少女の顔をみるたびに、心
の中でそうつぶやくのでした。



それから三年三カ月がすぎました。
山深い村にも、ようやく温かな春がや
ってきました。
少女は兄を喜ばそうと、守屋山へ黄金
色の花を探しに行こうと思いました。
幻の花といわれている黄金色の花さえ
見つかれば、兄がやさしい人になれる
ような気がしたのです。


              つづく



童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」
は、みほようこの初めての童話集「風
の神様からのおくりもの」に収録され
ています。








風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




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