白駒の池物語25
「おらは、長者の家の使用人だ。
おじょうさまのことを、きよなん
てよびすてにはできない」
「何いっているの、清太さん」
「だって・・・長者のおじょう
さまだもの」
「たしかに、私は長者の娘よ。
みんなから、長者のおじょうさま
とか、庄屋のおじょうさまってよ
ばれているわ。
でも、私は、おじょうさまという
ことばが、大きらい。
清太さんには、きよってよんでほ
しいの」
「それはそうだけれど。おら、こ
の家にお世話になった時から、お
じょうさまってよんでいるし。
急にそういわれてもね」
清太は、とまどっています。
つづく
「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。