白駒の池物語


 白駒の池物語53


「私、次郎さんと結婚したくない。
次郎さんがわが家をついでくれる
なら、私はよそへとついでも良い
と思っているの」
清太は、何もいえず、きよの話を
だまって聞いていました。



きよちゃんが結婚してしまえば、
「きよちゃん」なんてきやすく声
をかけることもできないし、こう
して二人で馬を走らせることもで
きないのだな。
そう思うと、清太はさみしく思い
ました。



「おらは、きよちゃんが大好きだ。
次郎さんにも、誰にも、きよちゃ
んを渡したくない。
きよちゃんは、おらのものだ!!」
清太は、心の中で強くさけびました。



おらが、もっと家柄のいい家に生
まれていたら、おらの家が金もち
だったら、今きよちゃんにプロポ
ーズできるのに。
でも、おらの家は、貧しい。
食べていくのが、精一杯だ。


           つづく



「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。



   昨日の分は、こちら。


   白駒の池物語52


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080927#p1




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    白駒の池物語1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080807#p1



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    「白駒の池」の写真


http://www.geocities.jp/dowakan/tegami56.html