かきつばたになった少女


 かきつばたになった少女8


霧がさっと晴れ、目の前に、真っ
青な空があらわれました。
そして、広い草原のむこうから、
こちらにむかって、少年が走って
くるのがみえました。



少年の姿は、草原を走っている小
鹿のように見えました。
少年の姿をみた時、かきつばたは
ほっとしました。



「こんにちは。すごい霧だったね」
少年が、にこにこしながら近づい
てきました。
「こんにちは。すごい霧でびっくり
したわ。
もう家に帰れないのではないかと
思ったわ」
かきつばたは、ほっとした顔でい
いました。



「みかけない顔だけれど、きみ、
どこからきたの?」
「あの山の向こうからよ」


             つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090312#p1




「かきつばたになった少女」は、
霧ケ峰高原の八島湿原に咲いている
かきつばたのお話。



ある日、女神のかきつばたは、霧ケ
峰高原へきすげの花をとりに行きま
した。
そして、ふもとの少年・山彦と出会
います。
さて、二人は・・・?



「かきつばたになった少女」は、みほ
ようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に、収録されています。



童話集「ライオンめざめる」は、
2006年10月、「鳥影社」
から発行されました。





    童話集「ライオンめざめる」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu4.html