開善寺の早梅の精


   開善寺の早梅の精7


「文次さんですか。文次さんこそ、
すてきな歌をよまれますね」
「いやいや・・・おはずかしい」
文次は、女の人にほめられ、顔が
赤くなりました。



「ところで、文次さん。なぜここ
へみえたのですか」
「今、わしらは、甲斐の武田と戦
っている。



だが、村の人から、開善寺の早梅
の話を聞き、どうしても梅がみた
くなったのじや。
だから、こっそり戦場をぬけだし
てここへきた」



「まあ・・・こっそりぬけだしてき
たのですか。
みつかったら大変でしょうに」
「そうじゃのぅ。今ごろ、文次がい
ないがどうしたと、さわいでいるで
しょうな」



「文次さんて、おもしろいかたですね。
武士ではないみたい」
梅香となのる女の人は、そういって
笑いました。


              つづく



   昨日の分は、こちら。


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   初めて読んでくださったかたへ


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