開善寺の早梅の精


   開善寺の早梅の精 10


「文次さんですか。文次さんこそ、
いい歌をよまれる」
「いやいや、おはずかしい」
文次は、女の人にほめられ、顔が
赤くなりました。



「ところで、文次さん。なぜここ
へみえたのですか」
「わしらは、今、甲斐の武田と戦
っている。だが、開善寺の早梅
がみたくなって、こっそり戦場を
ぬけだしてきたのじゃ」


        つづく