開善寺の早梅の精


   開善寺の早梅の精 11


「まあ・・・こっそりぬけだしてき
たのですか。みつかったら大変
でしょうに」
「今ごろ、文次がいないがどうし
たと、さわいでいるでしょうな」
「文次さんて、おもしろいかたで
すね。さむらいではないみたい」
梅香となのる女の人は、そういっ
て笑いました。



「わしは、戦が大きらいじゃ。罪
もない人を傷つけたり、殺したり
するのをみていると、ほんとにむ
なしくなる。一日も早く、戦のない
世の中になってほしいものじゃ」


       つづく