開善寺の早梅の精


  開善寺の早梅の精 12


「そうですね。平和な世の中に
なるといいですね」
女の人は、しんみりいいました。
「どこの人だろう。京の人かな」
文次は、女の人のことが気にな
りました。



「文次さん。私の家へ寄っていき
ませんか」
「えっ?」
文次は、心をみすかされたような
気がし、どきどきしました。


        つづく