井戸で鳴く黄金色のにわとり16
「信忠さま、どうされました?」
「淵に、なにかいる。みなのもの、
まず淵にいるものを退治せよ。
城は、それからじゃ」
信忠は、兵士たちにつげました。
「えいっ」
「えいーっ」
どしゃぶりの雨の中を、兵士たちは
淵にむかって、何千本もの矢をはな
ちました。
しかし、矢は淵に届かぬうちに、雨
の中にすいこまれてしまいます。
十五分後。
「ぶすっ」
淵から、にぶい音が聞こえてきました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100125#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100111#p1
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。