ふしぎな鈴25
みていると、背中がぱかっとわ
れて、中からせみが元気よくと
びだしてきました。
生まれたばかりのせみは、うす
い灰色がかった空色をしています。
小さく縮れていたせみの羽が、時
間がたつにつれ、だんだんにのび
てきます。
体の色も、うすい茶色に変わって
きました。
そして最後には、こい茶色になり
ました。
二人は、羽が完全にのびきるまで、
じっとみていました。
「じいちゃん…」
かなは胸がつまり、何もいえませ
んでした。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100707#p2
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1
「ふしぎな鈴」は、みほようこの
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。
リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。