竜の姿をみた少女


    竜の姿をみた少女19


「おじいさん。どの竜も、おじいさん
のような色をしているのですか」
「いや、生まれたばかりの竜は、茶色
じゃ。竜の赤ちゃんは、かわいいよ。
小さなうちは、おかあさんのもとで育
てられる。少し大きくなると、池の修
行場へ行くのじゃ」



「修行場って?」
「ほら、人間のこどもも、幼稚園や学
校へ行くだろ。それと同じようなとこ
ろじゃ。池の修行場へ行き、いろいろ
なことを学ぶと、体の色がだんだんに
黒くなってくる。
さらに修行をつむと、体の色が変わって
くるのじゃ。どんな色になるかは、ひみ
つだがね」



「どの竜も、体の色が変わるのですか」
「いや、中には、ずっと黒いままの竜も
いる。どれくらい修行をしたかによって、
体の色が変わってくるのじゃ」
「おじいさん。最後は、どんな色になるの」
「最後の色か。かなは、いろいろなこと
に興味があるのだね」


              つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110914#p2






童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。



童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。





   収録されている童話

  ・ 竜の姿をみた少女

  ・ 女神さまとの約束



       裏表紙