竹取物語

[童話]竹取物語


竹取物語 126


第九章 帝、かぐや姫の昇天を確かめる 7 
 

月の都の人たちは、すばらしい人ばかりで、
老いることがありません。悩み事もありま
せん。そんないい所へ帰ろうとしているの
に、私は少しもうれしくありません。二人
が老いていく姿を見守ってあげることがで
きないので、後髪をひかれるような気がし
ます」
「姫、もう何もいうな」
おじいさんは、月の使者をうらみ、腹をた
てています。


こうしているうちに、宵もすぎ、夜中の十
二時になりました。
家のまわりが、昼間より明るく光り輝きま
した。
満月の明るさを、十も合わせたような明る
さで、人の顔の毛穴さえみえるほどの明る
さでした。


       つづく