竹取物語 125
第九章 帝、かぐや姫の昇天を確かめる 6
「じい、そんな大きな声を出さないでください。
屋根の上にいる兵士たちに聞かれたらはずかし
いですよ。大切に育てていただいたのに、月に
帰ってしまうことは、ほんとうに残念です。前
世からの宿縁がなかったために、まもなく月に
帰らなくてはならなりません。
お世話になったのに、二人に何のお礼もできな
かったので、月の王にお願いしました。せめて
今年だけでもここにいさせてくださいと、休暇
の延長をお願いしたのですが、許可されません
でした。二人に心配をかけてしまったことが悲
しいです。
つづく