火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 6


第一章 次郎、西の村へ 4 


「いい仕事がみつかったんだ」
「どんな仕事なの」
「大きな農家で、住みこみで働くことになった」
「で、いつ引越しをするの」
「三日後」
「三日後?」
「仕事が忙しいから、早くきてほしいという
んだ」
「急な話ね。なぜもっと早くいってくれなかったの」
「ごめん。昨夜、決まったんだ」


「どこへ引っ越すの」
諏訪湖の西にある村。さっき、白鷺が飛んでいっ
た方向にある村だよ」
西の山を指さし、次郎がいいました。
「私、次郎さんと別れるなんて、いや。絶対にいや」
きよは、次郎と離れて暮らす生活なんて考えられま
せん


         つづく