火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 5


第一章 次郎、西の村へ 3 


きよと次郎は、土手一面に咲いていた福寿草
花を、なつかしく思い出しました。
「やっとみつけたぁ」
そういって、二人でとびあがって喜んだことも
思い出しました。
「次郎さん。また福寿草の花をみに行こうよ」
「うん。行こう」
二人は、七年前のことを思い出し、幸せな気持
になりました。


「きよちゃん。おれ・・・」
次郎が、もじもじしています。
「どうしたの。次郎さん」
「大事な話がある」
「次郎さん。話って、何?」
「おれ、引っ越すことになった」
次郎が、早口でいいました。
「えっ?」
きよは、次のことばが出ませんでした。


        つづく