火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 27


第四章 一ヶ月に一度の出会い 1


寒さの厳しい諏訪にも、ようやくあたたかな
春がやってきました。
諏訪湖の氷も、とけはじめました。


今日は、次郎と会う日。
きよは、湖のまわりを歩いていくことにしま
した。
湖のまわりを歩くと、氷の上を歩く何倍もの
時間がかかります。


きよは、一分でも早く、次郎の所へ行ける方
法はないものかと考えました。
「湖を泳いで行ったらどうだろう」
きよは、湖の中へ手を入れてみました。
氷がとけ始めた湖は、驚くほど冷たく、泳い
でいくことは無理でした。


        つづく