火とぼし山


   火とぼし山57


「きよちゃんが、魚に? 
そんなばかな」
そういって、次郎はだまってしま
いました。
「今夜は、きよちゃんの話につい
ていけない」
次郎は、心の中でそっとつぶやき
ました。



きよちゃんが、いくら泳ぎが達者
でも、こんなに早く湖を泳いでく
るなんておかしい。
どう考えても、変だ。
きよちゃんは、魚になったような
気がするといっていたが、魚にな
どなれるはずはない。



きよちゃんには、諏訪湖に住んで
いる魔物がとりついているのでは
ないだろうか。
ひょっとして、きよちゃんが、そ
の魔物だったりして。


            つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100505#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。