火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 67


第六章 湖を泳ぐ娘 15


「おれが、うそつき?」
大好きなきよから、うそつきといわれ、次郎は
ショックでした。
「次郎さん。うそつきなんていって、ごめんね。
でも、次郎さんはほんとのことをいっていない」
「きよちゃん。おれ、うそなんかいっていない」
「ほんと? 次郎さん」
「ほんとだよ」


きよは、次郎の顔をじっとみました。
次郎は、目をそらしました。
「私にはわかる。次郎さんが、その人と会って
いるということが」
「・・・・・・」
「次郎さん。その人と会っているでしょ」


       つづく