赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 39


「何をいいます、奥がたさま。わしが、最後まで二
人をお守りいたします。どうか安心してください」
家臣がいいました。
ところが、下条の追手から逃げまわっているうちに、
お万たちは家臣とはぐれてしまいました。


「奥がたさま」
「奥がたさまー。どこですか」
家臣が、遠くでお万をよんでいます。
でも、大声で返事をするわけにはいきません。
「ここですよ。私たちは、ここにいますよ」
お万は、心の中で何度もさけびました。


         つづく