赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 31


私は、お万さまも、大好きだった。
母のように慕っていた。
お万さまも、心から私をかわいがってくれた。
でも、盛永さまは、誰よりも奥がたのお万さまを
愛し、大事に思っていたのだ。
くやしい。


犬坊の頭の中を、これらのことばがぐるぐるとか
けめぐりました。
「お万さまは、ほんとに幸せなかただ。こんな非
常時にも、盛永さまに思ってもらえるのだから」
犬坊は、母のように慕っていた奥がたのお万に、
しっとしました。


         つづく