福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女


   福寿草になった少女 13


それから一年が過ぎました。
山深い村にも、ようやくあたたかな春がやってき
ました。
ある日、福はたった一人で留守番をすることにな
りました。
大勢の人に囲まれて生活している福には、珍しい
ことでした。


一人で留守番をしているうちに、福は守屋山に咲
いているという黄金色の花が、むしょうに見たくな
りました。
「福や、一人で遠くへ行ってはいけないよ」
いつも両親にいわれていたのに、福は一人で守
屋山へ行ってみようと思ったのです。


福は、お守りの鈴を首にかけると、守屋山にむか
って、細い急な道を登って行きました。
福が歩くたびに、「リーン・リーン」と、鈴の良い音
がします。

  
          つづく





福寿草になった少女」は、みほようこの二冊目の
童話集「竜神になった三郎」に収録されています。


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童話集「竜神になった三郎」の価格は、
現在 1540円です。