竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女


   竜の姿をみた少女 37


「奥さまも、しらかば湖へみえるのですか」
「いや、妻はこの湖へは一度もきたことがない。悲
しい思い出のある村へは行きたくないといって、一
歩もよりつかないのじゃ。無理もないがのぅ。つらい
思いをしたのだから」


「そうそう、忘れるところだった。妻に、かなのことを
話したら、妻が会いたいというのじゃ」
「奥さまが、私に?」
「そうじゃ。竜がいると信じているかなに、どうしても
会いたいらしい。さあ、かな。わしの背中にお乗り。
妻が待っている諏訪湖へ行こう。すぐもどってくる
から、心配しなくてもだいじょうぶだじゃ」
おじいさんは、そういいました。


       つづく





童話「竜の姿をみた少女」は、みほようこの五冊目の
童話集「竜の姿をみた少女」に収録されています。

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