愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」


「チャンスだ!!  さあ、にげよう」 1


ぼくが幼かった頃の話だ。
生後七ヶ月か、八ヶ月位の頃かな。
稲が30センチ位になっていたから、六月の終り頃だ
ったのかな。
その日も、ぼくはあーちゃんと散歩に行った。
そこは、たんぼがずぅーと続いていて、軽トラックがや
っと通れる位の細い道だった。
ほとんど通る人もいない。
道には、10センチ位の草がはえていた。


「さあ、りゅう。ここでキャッチボールをしよう。あーちゃ
んがボールを投げるから、ちゃんと拾ってくるのだよ。
ボールを拾ってきたら、チーズとかまぼこをあげるか
らね」


          つづく