あげはちょうになって

[童話]あげはちょうになって


あげはちょうになって 2


ひろは、この家の英雄だった。
しかし、なぜか、ひろの墓はない。
かなは墓参りをするたびに、三才でなくなったひろ
のことが気になっていた。
六十年たった今では、ひろのことを知っている人も、
ひろのことをなつかしく思い出す人もいない。


かなは、五才の時、交通事故で両親をなくした。
田舎の祖父にひきとられ、おじいさんと二人で暮し
ている。
おじいさんは、花や小鳥が大好き。
やさしい人でした。
かなは、おじいさんが大好き。
おじいさんもかなをかわいがっている。


          つづく