2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

鹿になった観音さま

鹿になった観音さま6 危険を感じた三郎は、思わず弓を かまえました。 「えいーっ」 三郎は、力いっぱい弓をひきました。 「ばしっ」 鹿の首に、矢がささりました。 「ばたんっ」 大きな音をたて、鹿がたおれました。 「黄金色の鹿を、いとめたぞー」 三郎…

鹿になった観音さま

鹿になった観音さま5 「がさ」 「ごそっ」 どこかで音がしました。 突然、三郎の目の前に、大きな鹿が とびだしてきました。 黄金色の鹿でした。 鹿の体は、太陽にあたり、ぴかっぴ かっと光っています。 「わぁーっ。黄金色の鹿だぁ」 三郎は、びっくりし…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1573 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091027#p3

鹿になった観音さま

鹿になった観音さま4 「さあ・・・。 和尚さま。じゃあ、これから裏山へ 行って、タケルたちの様子をみてき ます」 「三郎さ。たのんだぞ」 三郎は、裏山へ登って行きました。 「うー、わん、わん」 「わん、わん、わん」 タケルとチハヤが、大声でほえてい…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1572 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091026#p3

鹿になった観音さま

鹿になった観音さま3 そこへ、甲賀三郎兼家が通りかか りました。 三郎は、鹿狩りの名人。 毎日山へ行き、鹿やいのししなど をとっています。 三郎の家は、村一番の金持ちでした。 「和尚さま。裏山で、タケルとチ ハヤがほえているが、どうかした のかね」…

鹿になった観音さま

鹿になった観音さま2 柿の実が橙色に色づいた秋のある日。 「うー、うー」 「わん、わん、わん」 本堂の前で、犬がないています。 「タケル、どうした」 「チハヤ、どうしたのじゃ」 和尚が、二匹の犬に声をかけました。 犬たちは、和尚の声が耳にはいらな …

鹿になった観音さま

鹿になった観音さま1 信州の伊那谷、三穂の里に、「普 門寺」という寺がありました。 天安元年(857年)に創建され た、真言宗の寺でした。 寺には、聖徳太子作といわれる「十 一面観音像」があります。 寺がある三穂の里では、「小串柿」 とよばれる柿…

童話集「竜の姿をみた少女」

昨年12月、「鳥影社」から、 みほようこの五冊目の童話集 「竜の姿をみた少女」が、発売さ れました。 ビーケーワン・アマゾン・楽天・ 紀伊国屋書店・ジュンク堂などで、 本を発売中。 本が発売されて、50日。 全国の公立図書館でも、本を購入し ていた…

井戸で鳴く黄金色のにわとり

井戸で鳴く黄金色のにわとり27 そして、栄華をほこっていた武田の 一族は、あっけなく滅亡してしまっ たのです。 大島城は、織田との戦で、焼失して しまいました。 現在、残っているのは、丸馬出し・ 三日月掘・枡形虎口などの遺構だけ。 その後。 るり姫…

井戸で鳴く黄金色のにわとり

井戸で鳴く黄金色のにわとり26 愛するわが子をなくした信廉は、 戦をする気力をすっかりなくして しまいました。 「わしの一生は、なんだったのだ ろう。 大切なわが子さえ守ってやること ができなかった。 戦国の世とはいえ、戦、戦の一生 だった。 もっ…

井戸で鳴く黄金色のにわとり

井戸で鳴く黄金色のにわとり25 「なに? 姫が・・・井戸に身を なげたと」 「はい」 「なぜだ」 「逃げているうちに、おつきの人 たちとはぐれてしまったようです。 そして、織田の兵士たちに、井戸 の所までおいつめられたようで・・・」 「そうか。かわ…

井戸で鳴く黄金色のにわとり

井戸で鳴く黄金色のにわとり24 「姫が、井戸にとびこんだぞー」 兵士が、さけびました。 うすれゆく意識の中で、姫は祈り ました。 「戦のない平和な世の中は、いつ くるのだろうか。 一日も早く、みんなが安心して暮 らせる平和な世の中になりますよ うに…

井戸で鳴く黄金色のにわとり

井戸で鳴く黄金色のにわとり23 「こんなところに、姫がいるぞー」 兵士の声がしました。 姫は、これ以上逃げることはでき ないと思いました。 「おとうさま。もう逃げることは できません。 私は、敵につかまりたくありません。 だから、にわとりと一緒に…

井戸で鳴く黄金色のにわとり

井戸で鳴く黄金色のにわとり22 「姫さま。私たちが、最後まで姫 さまをお守りいたします。 だから、あきらめずに甲斐へもど りましょう」 おつきの人たちが、口々にいいま した。 姫は、おつきの人たちと一緒に、 暗闇の中を逃げまわりました。 あちこち逃…