病む姑に二十五年仕へきて
六十路迎へしと友しみじみと言ふ
血圧の高き姉のためこの夏も
白き花咲くドクダミを採りて干したり
なにごとも善意に解して生きゆかむ
今日の日記にそれのみ記しぬ
大平の人住まぬ家の藪に
ヂギタリスの花風に揺れおり
明日蒔かむ三色スミレの小さき種を
障子紙濡らしてその上にひたす
標高の高まるにつれて白樺の
木肌白じら秋日に冴え来ぬ
真向へる縞枯山は秋の日に
白白縞なし静もりており
見渡す限りキャベツ畑つづく野辺山高原に
収穫する人等点てんと見ゆ
初老の吾等体形の醜さを嘆きつつ
多喜示作の「裸婦像」前に立つ
玉城先生の短歌講演をきき
書道展を見心豊かに一日過ごしぬ
温かき友の言葉に励まされ
八つ手の花に群がる蜂を見ており
おことわり
「おり」の旧かなが入力できないので、
新かなになっております。