愛犬りゅう「ばいばい、またね」


   愛犬りゅう「ばいばい、またね」3


十時頃、同僚の先生が、ぼくと妹を迎えにきた。
この人は、少女の担任らしい。
妹は、この先生の家にもらわれていくらしい。
ぼくと妹は、先生の車にのった。
三十分位で、ぼくがくらす家についた。



「さあ、ついたよ」
ぼくは先生にだかれて、家へ入っていった。
「まあ、かわいい犬」
おくさんはそういって、ぼくをやさしくだいてく
れた。おくさんはやさしそうなめがねをかけた人
だった。やさしそうに見えたけれど、本当はきび
しい人だということを、ぼくは後で知った。



車にゆられてきたので、ぼくはおしっこがしたく
てたまらなかった。
「くぅーん、くぅーん」
「おしっこがでちゃうよぉー」
ぼくはひっしで知らせたが、おくさんには通じなか
ったみたい。



ぼくはこらえきれなくなって、おくさんの手の中へ、
おしっこをしてしまった。
「ああ、はずかしい」
でも、しかたがない。こらえきれなかったのだから。
「あら、おしっこ・・・」
おくさんはあわててぼくを下へおろした。
そして、雑巾を持ってきて、すばやくふいた。
これが、ぼくとあーちゃんとの初めての出会いだった。


      つづく