愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」


「ぼくの主人は、お茶の先生?」 2


まあ、いいか。
その家にはこどもがいないというから、ぼくをかわい
がってくれるだろう。
でも、その奥さん、ぼくのこと気にいってくれるかな。


昭和五十九年十月三十一日。
ぼくは、この世に生まれた。
ぼくと一緒に、弟と妹も生まれた。
「あっ、可愛い犬。この犬を、先生にあげよう」
少女はそういって、ぼくをだきあげた。
ぼく、うれしかったな。
早く大きくなって、その家へ行こうっと。


ぼくのかあちゃんも、この家の人たちも、みんなぼく
をかわいがってくれた。
とくに少女は、うんとぼくをかわいがってくれた。
うれしかったな。
一方、ぼくが行く家でも、「あと何日かたつと、わが
家に犬がくるのね」と、首を長くして待っていてくれ
たらしい。


             つづく