[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」
愛犬りゅう「ばいばい、またね」
「プロローグ」 1
ぼく、柴犬の「りゅう」。
ぼくがなくなったのは、平成十二年二月一日。
寒い日だった。
月日のたつのは早いもので、ぼくがこの世を去って
から、二十一年になる。
ぼくは「わんわん」としかいえなかったが、たまに「あ
ー・ちゃん」といえたんだよ。
「あーちゃん」って、誰だか知っているかい?
ぼくの飼い主だった、この家の奥さんのことさ。
あーちゃんは、朝起きるとぼくにむかって、大きな声
で「お・は・よ・う」って、いうんだ。
それは、十五年と三ヶ月間続いた。
つづく