愛犬りゅう「ばいばい、またね」11
大好きなハムを目の前にして、ぼくはわくわく
していた。そして、あーちゃんがさしだしたハ
ムを、何の疑いもなく、ぺろりと飲みこんでし
まった。
しかし、飲みこむ時、なんとなくいつものハム
とちがうような気がした。
気のせいだったのだろうか?
飲みこんでしまった後、なにげなくあーちゃん
の顔をみた。
「ああ、うまくいった・・・」
あーちゃんはそんな顔をしていた。
何がうまくいったのだろうか?
まあ、いいか。大好きなハムを食べることがで
きたのだから・・・。
その夜。
「今日、りゅうに・・・を飲ませたの。
ハムの中へおしこんで飲ませたら、疑いもせずぺ
ろりと飲みこんでしまったわ」
「薬を飲ます時には、そうするといいよ」
「そうね」
あーちゃんとこうちゃんが、またひそひそと話を
していた。
「薬」って聞こえたけれど、薬って何だろう?
何の薬かな?
その後、ぼくは何度か回虫の薬を飲まされた。
ぼくがくいしんぼうでなかったら、きっとうまく
いかなかったにちがいない。
つづく