愛犬りゅう「ばいばい、またね」


愛犬りゅう「ばいばい、またね」25


ぼくが幼かった頃の話だ。
生後七ヶ月か、八ヶ月位の頃かな。
稲が30センチ位になっていたから、六月の終り
頃だったのかな。
その日も、ぼくはあーちゃんと散歩に行った。



そこは、たんぼがずぅーと続いていて、軽トラッ
クがやっと通れる位の細い道だった。
ほとんど通る人もいない。
道には、10センチ位の草がはえていた。
「さあ、りゅう。ここでキャッチボールをしよう。
あーちゃんがボールを投げるから、ちゃんと拾っ
てくるのだよ。ボールを拾ってきたら、チーズと
かまぼこをあげるからね」



「りゅう、どこかへ行ってはだめよ。ちゃんとあー
ちゃんの所にもどってくるのだよ。りゅう、わか
った?」
「うん、わかった。ちゃんともどってくるよ。だっ
て、ぼく、チーズやかまぼこが食べたいもの」
ぼくは、あーちゃんと約束した。



あーちゃんは、ぼくのつなをはなしてくれた。
そして、おもいっきり遠くへボールをを投げた。
ぼくはボールを追って走った。
「わぁーい、やっと自由になれた!!」
ぼくは、大きな声でさけんだ。
あーちゃんがボールを投げる。それをぼくが拾っ
てくる。
そして、ごほうびにチーズとかまぼこをもらう。
そんなことを、20回位くりかえした。



ぼくは、だんだん疲れてきた。そして、キャッチ
ボールにあきてきた。
「りゅう、後一回だよ。ちゃんともどってくるの
だよ」
あーちゃんがぼくに念をおした。
「後一回か・・・。じゃあ、逃げるチャンス・・・
おっとことばが悪い。
冒険に行くチャンスは、後一回しかないのか」
ぼくはボールを拾いにいくふりをして、ボールと反
対の方向へ走った。


       つづく








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