ふしぎな鈴「朝顔のエスカレーター」


ふしぎな鈴「朝顔エスカレーター」5


庭へでると、おとうさんが育てた朝顔
の花が、たくさん咲いていました。
白い花も紫の花も、ピンクの花も咲い
ています。



「かな、みてごらん。朝顔の芽がでて
きたよ。かわいいだろ」
「かな、つるがのびてきたよ」
「ほら、みてごらん。つぼみが三つも
ついたよ。
もうすぐ花が咲くよ。楽しみだね」
朝顔の花をみていると、おとうさんの
声がなつかしく思い出されました。



おとうさんがなくなってから、百日が
すぎました。
かなの村に、初雪が降りました。
初めちらちら降っていた雪も、いつの
間にかぼたん雪にかわりました。
雪をみているうちに、かなは黄金色の
鳥がおいていった、黒い種のことを思
いだしました。


  つづく



「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊
目の童話。
一昨年九月、「鳥影社」から発行され
ました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
すてきな挿絵です。




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)