きよと清太と、そして白駒


    きよと清太と、そして白駒3
 

「おじょうさま。諏訪の神様は、なんとよばれて
いるか、知っている?」
「明神さまでしょ」
「そうだね。諏訪の神様は、諏訪明神とよばれて
いる。農耕の神様・狩猟の神様・風の神様ともよ
ばれているんだよ。



おらも、この家にくる前は、かあちゃんと一緒に、
よくお参りにいったよ」
清太が、故郷の諏訪のことを話してくれたのは、
今日が初めてでした。



「さあ、おじょうさま。遅くなるといけないから、
急いで馬小屋へ行こう」
「清太さん。二人だけの時は、おじょうさまなん
てよばないで。きよって、よんで」
「おらは、長者の家の使用人だ。おじょうさまの
ことを、きよなんてよびすてにはできない」


つづく



「きよと清太と、そして白駒」は、信州の佐久地方に伝
わっている「白駒の池」の話をヒントに、みほようこ
書いた物語。

  
       主な登場人物


    きよ   長者の一人娘

    清太   長者の家で働いている少年

    白駒   長者の家の馬