きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒41


清太にというより、長者は自分自身に腹を
たてていたのです。
「はい、わかっております。私が家柄の良
い家に生まれていたら、おじょうさまを私
にいただきたいとお願いしていると思います」



「なんだと!清太」
 長者は、ますますこうふんして大声でい
いました。
「おれは、清太のことを、いつもじまんに
思っていたのに・・・。なぜだ!」
長者は、自分がみじめでした。



「でも・・・おら・・・いや私の家は、貧
しい。家柄がちがいすぎます。だから、ど
んなにおじょうさまが好きでも、おじょう
さまと結婚させてくださいなんていえませ
ん。・・・いってはいけないと思います」
清太は、自分にいいきかせるように、静か
にいいました。



どのくらいの時間がすぎたのでしょうか。
清太にも、そして長者にも、長い時間がす
ぎたように感じました。


つづく