笛の音よ、永久にひびけ


  笛の音よ、永久にひびけ11


小雪の舞う、寒い季節になりました。
若者が、高原にやってきました。
若者は、コカリナ(木で作ったタテ笛)の
奏者でした。
スキー大会の会場を作るために切りたおさ
れたたくさんの木をみて、若者はこれらの
木を生かす方法はないものかと考えました。



切りたおされた木の中でも、かえでの木は
みごとでした。
「なんて大きなかえでの木だろう。せめて
かえでの木だけでも、なんとか生かしてあ
げたいものだ。



そうだ。かえでの木で笛を作ったらどうだ
ろう。きっと素晴らしい笛ができるにちが
いない」
若者は、そう思いました。
「笛を作りたいのですが、かえでの木をゆ
ずっていただけませんか」
若者は、責任者の人にたのみました。



「かえでの木で、笛ができるのですか?」
「ええ、できますよ。きっと、すばらしい
音色のする笛ができると思いますよ」
若者は、そう答えました。 


      つづく



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、スキー
大会の会場をつくるためにきりたおされた、
信州志賀高原の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に収録されています。









おとうさんからもらった誕生日のプレゼン
ト、ライオンのロケット。
そのロケットには、何千年も前の謎が秘め
られていた。
表題作ほか、霧ケ峰高原を訪れたときに、
風の神様から聞いた3つのお話を収録。




http://www.bk1.jp/product/02719469